世界で日本人が造るおすすめワイン10選
今日、海外ではスポーツ選手のみならず、日本人のワイン醸造家が大活躍しており、そのワインの品質は一目も二目も置かれています。パーティーの手土産やプレゼントにしても面白い、海外で日本人が造っているおすすめのワインをご紹介します。
フランス・ブルゴーニュ地方/ルー・デュモン/仲田晃司氏
仲田晃司氏は1972年岡山県生まれ。『神の雫』9巻に登場したことでも知られています。2000年に設立されたメゾン・ルー・デュモンは、現在ジュヴレ・シャンベルタンが拠点。彼の作るワインは奇を衒わない正統派ブルゴーニュで、職人気質な彼の実直な仕事ぶりが表れている繊細な味わいです。ラベルには毛筆書体で「天地人」の文字が記されていますが、これはワインの美味しさを支えるのは天候と土壌と育てる人であるという彼の理念を表します。彼自身が作るワインも非常にコスパが高いのですが、彼が仲買人(クルティエ)として発掘したワインをルー・デュモンブランドで販売している「クルティエ・セレクション」はさらに格安で品質も確か!
【管理人のテイスティングコメント】
フランス・ボルドー地方/クロ・レオ/篠原麗雄氏
篠原麗雄(れお)氏は1974年兵庫県宝塚市生まれ。ボルドーのシンデレラワインの元祖と言ってもよい「ヴァランドロー」での勤務を経て、サンテミリオンの隣のカスティヨン・コート・ボルドーで2002年から「クロ・レオ」の生産を開始しました。篠原氏は自身の畑が0.8haという非常に小さいことから、ボルドーで一般的な「シャトー(城)」を名乗っていません。彼のワインの特徴は、徹底的にぶどうの収量を抑える(※一般的なボルドーの半分の割合)ことによってぶどうの果実味を凝縮させていること。畑が小さいのに収量を抑えるのはなかなかできることではなく、価格が高騰傾向にあるのもやむを得ません。ワインはトップレベルのサンテミリオンのスタイルで、メルローの柔らかでリッチな果実味に満ちた味わいですが、その中にエレガントさと気品が共存するところはさすがに日本人の仕事。【管理人のテイスティングコメント】
フランス・ブルゴーニュ地方/ドメーヌ・シモン・ビーズ/ビーズ千砂
ビーズ千砂氏は1967年東京生まれ。「シモン・ビーズ」はマイナーだったサヴィニー・レボーヌ村を市場に認知させた老舗の実力派ドメーヌ。彼女はこちらに嫁ぎ、営業と販売を担当していましたが、歴史的大凶作の2013年10月に夫でありドメーヌ当主のパトリック・ビーズ氏を交通事故で亡くし、ドメーヌを継ぐことになりました。そこに大変な苦労があったことは想像に難くありませんが、現在千砂氏自らドメーヌの陣頭指揮を取っています。心配された2013年ビンテージも手堅くまとまった出来で、今後応援していきたいドメーヌです。
フランス・ローヌ地方/ラ・グランド・コリーヌ/大岡弘武
大岡弘武氏は1972年東京生まれ。ローヌ最大手ギガル社の栽培責任者を経て、2003年にローヌ地方の小さな村サン・ペレイに「ラ・グランド・コリーヌ」を設立しました。「グランド・コリーヌ」とは彼の名前をもじった「大きい丘」という意味。彼のワインは「ビオロジック」と呼ばれる自然農法を採用しており、除草剤、化学肥料、酸化防止剤を使用していません。また、酵母も野生酵母を使用しており、瓶詰め後も発酵が進むために、基本的に微発泡があります。ぶどう本来のフレッシュな果実味が魅力の彼のワインは、購入後はなるべく早めに開栓することをおすすめします。近年入手困難!
カリフォルニア/ナカイ・ヴィンヤード/中井章恵
中井章恵(あきよし)氏は1940年東京生まれ。1980年にカリフォルニア州ソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーに設立した「ナカイ・ヴィンヤード」は、海外の日本人経営ワイナリーの先駆け的存在です。研究熱心な彼のワインは年々品質を上げ、今や現地でも確固たる地位を築いています。特にソーヴィニヨンブランの評価が高く、他のワイナリーがブドウを買いつけに来るほどです。品質の割に価格が手頃で、現状非常にお買い得。和風のラベルも魅力です。
カリフォルニア/ケンゾー エステイト/辻本憲三
辻本憲三氏は1940年奈良県生まれ、ご存知ゲーム会社カプコンのCEOです。1990年に、カプコンの事業失敗で遊休地になっていたカリフォルニア州ナパの土地1,500haを、個人でカプコンから購入し「ケンゾー エステイト」の前身を設立。ソーヴィニヨンブランの「あさつゆ2013」が「Vivino wine style awards」で銀賞を受賞するなど、評価は近年うなぎのぼり。正直なかなか手を出せない価格帯ですが、一度は味わう価値があります。特におすすめはカベルネフラン。凝縮した果実味はカベルネフランの概念が変わること必至!
カリフォルニア/ナカムラ・セラーズ/中村倫久
中村倫久(のりひさ)氏は1970年東京生まれ。ホテル日航のホテルマンだった彼はサンフランシスコの赴任時代に、軽い気持ちで出かけたワイナリー巡りでナパの景色とワインの美味しさに魅了されワイン造りを志します。「Napa Wine Company」や「Artesa Winery」での勤務を経て、2010年にナカムラ・セラーズを設立しました。彼が目指すのは「和食に合うワイン」。カリフォルニアは非常に気候に恵まれており、厚みのあるワイン作りには向いている半面、繊細なワイン作りが難しい面があります。しかし彼は、寒暖の差が大きいソノマコーストという土地で、シャルドネとピノノワールという白・赤2品種に絞り、見事に和食に合うワインを造り出しています。
カリフォルニア/マボロシ・ヴィンヤード/私市友宏
私市(きさいち)友宏氏は、大阪府出身。大学卒業後は家業の酒販店を営んでいましたが、ワイン造りを志し、1991年に奥さんレベッカさんと娘を連れ、フランスにワイン修行に飛び立ちます。ブルゴーニュのアルマン・ルソーでの勤務で一年間修業しますが、フランスは法律が厳しいため自分で土地を切り開いてワイナリーを作ることは難しいと判断。その後カリフォルニアに移住し数社での勤務を経て、1999年にマボロシ・ヴィンヤードを設立。日本の女性が選ぶ「SAKURA AWARD 2015」ではピノノワールの「DE LOACH」がダイヤモンドトロフィーを受賞するなど、近年実力ワインの地位を確固たるものにしています。
ニュージーランド/クスダ・ワインズ/楠田浩之
楠田浩之氏は1964年埼玉県生まれ。富士通やシドニー総領事館での勤務を経て、1997年9月ドイツにワイン留学。卒業後の2001年にニュージーランド北島の南端のマーティンボロに移住、同年10月「KUSUDA WINES」を設立します。彼の一番のこだわりは、彼曰く世界最高の品質を目指していているピノノワールですが、その他の品種も品質は高く、生産するワインはアメリカには輸出されていないにもかかわらず、アメリカのワイン誌ワイン・アドヴォケイト2013年10月号で、3アイテムが89点から93点を獲得しています(93点がピノノワール)。
ニュージーランド/コヤマ・ワインズ/小山竜宇
小山竜宇(たかひろ)氏は1970年神奈川県横浜生まれ。大学はアメリカ・シアトルへ進学し、東京でサラリーマンとして就職。2003年ニュージーランドに渡って大学でワイン醸造を学ぶ傍ら、2004年からプレミアムワイナリーの「マウントフォード」で勤務。2009年に「コヤマ・ワインズ」を設立します。ラベルに描かれた竜が印象的ですが、これは彼の名前「竜宇」をイメージしています。彼のワインは自然酵母を使用するなど、自然な造りを目指しており、特にピノノワールは清澄もろ過もしないで瓶詰めしています。