スペインを代表するワイン生産者おすすめ5選
スペインワインというとひと昔前は日本ではあまり知られていませんでしたが、スペインバルが一般的になった今、その注目度も高まっていると言えます。スペイン=南国というイメージがあるせいか、ただ強くて濃いワインというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、トップワイナリーが造るワインはバランスよく酸味を伴いエレガントな味わいです。ここでは管理人が今まで味わったなかから厳選したおすすめの生産者をご紹介します。
ベガ・シシリア(Vega Sicilia)
- 創業年:1864年
- 所在地:スペイン/カスティーリャ・イ・レオン州/リベラ・デル・ドゥエロ
- 銘柄:ウニコ、レセルバ・エスペシアル、バルブエナ5アーニョ、アリオン、ピンティアなど
2010年12月試飲
スペインワインの最高峰として、フランス・ブルゴーニュの最高峰ロマネ・コンティにも喩えられるのがベガ・シシリアのフラッグシップワイン「ウニコ」。ティント・フィノ(=テンプラニーリョ)にカベルネ・ソーヴィニヨンをプラスし、大樽・中樽・小樽と何度も樽を移し替えながらの長期熟成。「レセルバ・エスペシアル」は複数年の秀逸ヴィンテージをブレンドしたもの。スペインワイン界にはライバルが続々登場していますが、それでも誰も真似の出来ない唯一無二のその造りこそが「ウニコ」(=unico=unique)の真骨頂です。
ベガ・シシリアについての豆知識
ベガ・シシリアには樽工房もあり、アメリカンオークの樽は自社製。フレンチオークはフランスの樽会社が上質の樽材を買い占めてしまうので、完成品の樽を輸入しています。
マリアーノ・ガルシア(Mariano Garcia)
- 創業年:1980年
- 所在地:スペイン/カスティーリャ・イ・レオン州/リベラ・デル・ドゥエロ
- 銘柄:マウロ・クリアンサ、ベンディミア・セレクシオナーダ、テレウス、サン・ロマン(トロ)、アアルト(リベラ・デル・ドゥエロ)など
2011年11月試飲
前述のベガ・シシリアの醸造長として30年以上に渡りウニコの品質を築いてきたマリアーノ・ガルシア。現在は一族経営のマウロ、サン・ロマンのほか、元リベラ・デル・ドゥエロの原産地統制委員会のハビエル・サッカリーニ氏と共同経営するアアルトなどでスペインワイン界を牽引しています。いずれもかつて自分が携わったベガ・シシリアのウニコの後追いではなく、土地の伝統を現代的に解釈したスタイル。マウロの「テレウス」は見つけたら絶対に買いのお宝ワインです。
マリアーノ・ガルシアについての豆知識
ベガ・シシリアの醸造長だったマリアーノは1998年に突然解雇されますが、これはベガ・シシリアのオーナーがマウロの急上昇の評価をやっかんだための処置と言われています。心配されたウニコの1999年ヴィンテージは、結果的にパーカーポイント92点と、1998年の98点から急降下しています。ちなみに自身の1999年、マウロ・テレウスは94点、ベンディミア・セレクシオナーダは95点といずれもウニコ超え。
ピーター・シセック(Peter Sissec)
- 創業年:1995年
- 所在地:スペイン/カスティーリャ・イ・レオン州/リベラ・デル・ドゥエロ
- 銘柄:ピングス、フロール・デ・ピングス、キンタ・サルドニア、醸造責任者としてアシエンダ・モナステリオ
2014年9月試飲
デンマーク人のピーター・シセックは、サンテミリオンのガレージワイン・ヴァランドローを造るジャン・リュック・テュヌヴァンの元で修行。1995年、掘っ建て小屋で造った「ピングス」がパーカーポイント98点を叩き出し、一躍注目を浴びました。人気のイケメン醸造家テルモ・ロドリゲスと組み、リベラ・デル・ドゥエロ近郊で新たに始めたキンタ・サルドニアというブランドも好調。キンタ・サルドニアでも、ピングス同様にビオディナミを採用しています。
ピーター・シセックについての豆知識
ピーター・シセックの本業は、アシエンダ・モナステリオの醸造責任者。ピングスもキンタ・サルドニアも彼の余暇で造っているワインです。
アルバロ・パラシオス(Alvaro Palacios)
- 創業年:1989年
- 所在地:スペイン/カタルーニャ州/プリオラート
- 銘柄:レルミータ、フィンカ・ドフィ、パラシオス・レルミンダとしてプロピエダ、ラ・モンテサ、プラセットなど
2014年9月試飲
故郷のリオハを飛び出したアルバロ・パラシオスは、ボルドーやカリフォルニアでワイン造りを学び、レネ・バルビエらと共に、いわゆる四人組の一人としてカタルーニャ地方のプリオラートをを再興。樹齢の古いガルナッチャを醸したモンスターワインの「レルミータ」で一世を風靡します。その成功を手土産に実家のリオハでも改革を進め、これも大当たり。モダン・スパニッシュの第一人者としてその地位を不動のものにしています。単に濃厚さを求めるのではなく、繊細さを備えたワインを生み出すバランス感覚が素晴らしい造り手。
アルバロ・パラシオスについての豆知識
アルバロ・パラシオスの実家はリオハのエレンシア・レモンド。2000年に父ホセ氏が亡くなり、パラシオス・レモンドの名でリオハのワイナリーの面倒も見ています。
アレハンドロ・フェルナンデス(Alejandro Fernandez)
- 創業年:1972年
- 所在地:スペイン/カスティーリャ・イ・レオン州/リベラ・デル・ドゥエロ
- 銘柄:ペスケラ・クリアンサ、ペスケラ・レセルバ、ペスケラ・グラン・レセルバ、ハヌス、コンダード・デ・アサ、デエサ・ラ・グランハ
2015年5月試飲
もともと栽培農家に農機具を販売していたアレハンドロ・フェルナンデスは、ある日自分の手でワインを造ることを思い立ちます。場所はリベラ・デル・ドゥエロで、1972年当時、この地はウニコ以外はまともなワインが存在しない時代。鳴かず飛ばずの時期が長く続きましたが、やがてロバート・パーカーの目に留まり、1989年ヴィンテージがパーカーポイント96点、「スペインのペトリュス」と評価されたことでブレークしました。
アレハンドロ・フェルナンデスについての豆知識
ハレハンドロには4人の娘がいますが、ボルドー大学を卒業した末娘のエバ・マリアが、現在醸造責任者です。