華やかな食事の場にチーズとワインはつきもの。一般的にチーズとワインは当然合うものと考えられていますが、実はものによっては意外と合わない場合があるので注意が必要です。ここでは、チーズのタイプ別のワインとの相性をご紹介します。実際にはもっと細かい相性の良し悪しはあるので、あくまで最大公約数的なものとご理解ください。もっと細かいチーズ毎のワインとの相性については、以下の記事もご参照ください。
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白カビ系チーズ
「カマンベール」「ブリ・ド・モー」「シャウルス」等。全体的にはマイルドでクリーミーなものが多く、おそらく一番日本人に好まれるチーズです。相性の良いワインとして赤ワインをすすめる人が多いようですが、管理人はどちらかというと白ワインのほうが合うという意見です。カマンベールチーズ発祥の地ノルマンディーのシードル(甘口・辛口)の他、白ワインなら比較的どのタイプも合うと思いますが、どれか一つ選ぶとしたら、りんごの風味がシードルに似ているロワールの「ヴーヴレ」などシュナンブラン種のものをおすすめします。赤ワインを合わせるなら、果実味が豊かで、酸味・渋みが少ないものが合うでしょう。
【おすすめワイン】
- ヴーヴレ
- りんご、洋梨、黄桃などの果実味と豊かな酸味。樽香がないのもポイント
- シードル(甘口・辛口)
- シードルの産地ノルマンディーはカマンベールチーズ発祥の地
- グルナッシュ主体の赤
- イチゴやブルーベリーのジャムを添える感覚で
青カビ系チーズ
「ゴルゴンゾーラ」「ロックフォール」「スティルトン」等。濃厚な香りと風味、ピリッとした舌触り、強い塩気が特徴で、好き嫌いがはっきり分かれるチーズかと思います。個性が強いチーズなので、合わせるワインにも強い個性が求められ、塩気とのコントラストから甘口ワインが特に好相性とされます。はちみつを添える感覚なら貴腐ワイン、ジャムを添える感覚ならバニュルスやポートを。
【おすすめワイン】
- ボルドーの貴腐ワイン
- 塩気と甘味とのコントラスト、はちみつの風味
- バニュルス
- 塩気と甘味とのコントラスト、ジャムやベリー系ドライフルーツの風味
- グルナッシュ主体の赤
- 甘口が苦手、あるいは合わせるのが難しい場合に、ジャムを添える感覚で
シェーヴル(山羊)チーズ
「サントモール・ド・トゥーレーヌ」「クロタン・ド・シャヴィニョル」「ヴァランセ」等。山羊のミルクでつくられるチーズを総称してシェーヴルといい、爽やかな酸味、青草の香り、山羊特有の風味とコクが全体的に共通する特徴です。有名ないくつかのシェーヴルはフランスのロワール産で、いずれも青草の風味が共通することから、ロワールのソーヴィニヨンブラン(サンセール、プイィ・フュメ、トゥーレーヌ等)が絶好の相性です。
【おすすめワイン】
- ソーヴィニヨンブラン
- 酸味、青草の香りが共通。ロワールはシェーヴルの有名産地
- ピノ・ノワール
- 特に熟成したシェーヴルに。チーズのミルキーさとワインの果実味が引き立て合う
- ボルドーの貴腐ワイン
- ワインの甘さが山羊っぽさを優しく包み込んで引き立てる
ウォッシュチーズ
「エポワス」「マンステール」「ポン・レヴェック」「タレッジョ」等。チーズの表面を塩水やワイン、ビール、マールなどで「洗う」ことによって、微生物の働きを促進させてつくるチーズです。納豆のような発酵の香りがあるなど、風味が個性的なものが多く、好き嫌いが分かれるチーズですが、濃厚な旨味があり、ハマッたらクセになります。皮を取る、取らないによってもワインとの相性は違ってきますが、基本的には赤ワインと好相性です。
【おすすめワイン】
- ブルゴーニュ赤
- ジュヴレシャンベルタンなど力強いタイプを。香りの華やかさが相乗効果
- グルナッシュ主体の赤
- ワインの果実味、特にブラックチェリーの風味が強調されて美味
- ボルドーの貴腐ワイン
- 皮ごと食べるとインパクトのある化学反応を楽しめる
フレッシュチーズ
「マスカルポーネ」「モッツァレラ」「リコッタ」「フロマージュ・ブラン」等が日本では一般的。未体験の方は「ブリア・サヴァラン」というチーズを是非一度ご賞味ください。全般的にはクリーミーさと爽やかな酸味が特徴で、そのまま食べても楽しめますが、あっさりしているので、単体ではワインとのマリアージュはなかなか難しいタイプのチーズです。フレッシュフルーツやドライフルーツ、ナッツなどと共に味の広がりを楽しむのがおすすめ。
【おすすめワイン】
- ボルドー白(樽有り)
- チーズ単体で楽しむならこれ。ソーヴィニヨンブランの爽やかさが共通項で、バニラやモカの風味をチーズにプラス
- グルナッシュ主体の赤
- ドライフルーツをプラスして。ワインにあるドライフルーツの風味を強調
- ボルドーの貴腐ワイン
- ドライフルーツをプラスして。ワインの甘さがチーズのクリーミーさを強調
ハードチーズ(セミーハード含む)
「コンテ」「パルミジャーノ・レッジャーノ」「ミモレット」「ラクレット」等。水分が抜けてしっかりした硬さのあるチーズで、全般的には熟成期間が長く、風味・旨味が複雑で濃厚なものが多いです。さまざまなワインと合いやすく、それぞれ異なる化学反応を楽しめます。チーズは常温&厚切りがおすすめ!
【おすすめワイン】
- ジゴンダス(ローヌ赤)
- チーズの風味とワインの香りがお互いを際立たせる
- シャトー・シャロン
- 別名「黄ワイン」。辛口シェリーに似た味わいで、コンテチーズとの定番相性
- ボルドーの貴腐ワイン
- いい意味でお互いに酸味と苦みがあることを気付かせてくれる。ワインにあるアプリコットの香りを強調
さまざまなチーズと合わせる場合
現実的には、一つのワインで数種類のチーズに合わせることになる場合が多いと思います。そんな場合、ピンポイントで絶妙の相性!とはならずとも、無難にどのチーズとも寄り添ってくれるのがシャンパーニュです。白もよいですが、より懐が深いのはロゼ。シャンパーニュ以外のスパークリングを選ぶ場合は、カヴァ、フランチャコルタ、ゼクトなど「シャンパン製法」のものが、より複雑な味わいを楽しめるのでおすすめです。
【おすすめワイン】
- ロゼ・シャンパーニュ
- 瓶内二次発酵の複雑な味わい、高レベルの果実味・酸味が幅広いチーズと合う
- 貴腐ワイン
- やはりどんなチーズにも合うのは甘口、特に貴腐ワイン
- グルナッシュ主体の赤
- 泡・甘口以外で一番外れが少ない
ちなみにこちらのワインショップ「WineShopSommelier
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